高田渡の「生活の柄」はアルバム「ごあいさつ」がいい。若者に歌われる理由がここにある

1971年ベルウッド・レコードから、高田渡『ファーストアルバム ごあいさつ』が発売された。
現在、オリジナルレコーディングのリマスター 版がキングレコードから発売されている。


こんにちは
健康オタクの あんこう です。

今回は私にとって思い出深い
高田渡の名曲「生活の柄」です。

昭和46年(1971)発売

この「生活の柄」
最近、若い人にも歌われていると聞き
どうしてだろう?と疑問が出てきた。

そこで
歌われる魅力を解明していこうと思い振り返ってみた。

若い人に歌われる理由がみえてきます。

初めて人前で歌ったのが「生活の柄」だった

東大紛争が終わり、
その後70年安保と。
まだその傷跡を引きずっているそんな時代だった。

このころフォークソングは
反戦歌の時代が終わって
自分の気持ち・生活など
内向きな歌に変わっていった。

ここから
ニューフォーク、商業フォーク
そしてニューミュージックへとなっていくのである。

私はこのころ地方都市の
夜間大学を受験し入学していた。

若い時というものは怖いもの知らずである。

高校時代にチョロっと覚えた
ギターを持って学生寮の寮祭に出演。

級友たちに
「俺、出るから」
とふれまわって勇躍会場に乗り込んだ。

ここまでは良かった。

だが出番までが長かった。

いつの間にか身体がカチカチに。

出番が来てステージに立つと
頭は真っ白、くちびるは真っ青。

歌を歌えるような状態ではない。

それでも、どうにか
最後まで歌い終わることができた。

そして
「この歌は私の大好きな、いい曲です」
とひとこと言って終わらせた。

すると前列の観客の中からこんな声
「うん。曲はいい」

あとで級友たちに感想を聞いたが、
その口は重かった。

ようは全くとちったのであった。

「若者よ、人前に出るときは
 十分に練習をしなさい。

 もう大丈夫と思っても
 その倍の練習をしなさい。

 そうすれば、
 おのずと自信が満ちてくる」

こんな人生訓があったかな。

これが足りなかったのである。

この時の歌が
高田渡の「生活の柄」だった。

この頃、フォークシンガーは
テレビに出ないのがあたりまえで

ほとんどのシンガーは
ラジオの深夜放送で情報を発信していた。

高田渡はというと
吉祥寺のぐわらん堂の常連たちと
終日酒を飲み、
セッションを組んで
演奏をしたりしていた。

これが武蔵野タンポポ団となり、
全日本フォークジャンボリーにも出演し喝采をあびた。

高田渡全盛の時代だった。

私はせっせと深夜放送を聞いていた。

社会人になってから聞いた「生活の柄」

社会人になって10年経っただろうか。

このとき
不思議なタイミングで
「生活の柄」を聞いた。

あわただしい毎日だった。

夜、お客さんに呼び出されて
営業に向かう車の中での事。

何気なく
ラジオのスイッチをオンにすると、
そこから流れてくる歌が「生活の柄」だった。

なぜかシーンと静まり返った車の中。

高田渡の声が流れてくる。

そこから聞こえてくる歌は
とってもゆったりでスローで
やさしく、ささやきかけてきた。

『歩き疲れてしまって
水平線の上に寝そべって寝たのさ。

草地の中にもぐり込んで
そこが何処だろうと
眠れるところなら気にしないで寝たのさ』

このような意味の詞だったろうか。

学生時代に聞いた「生活の柄」も
こんな感じだったかなと思いながら
近くの駐車場に車を止めゆっくりと曲を聴いた。

ゆったりとした時間が過ぎていた。

車の中は
高田渡の歌だけが聞こえてくる。

山之口獏の詩と高田渡の曲が
見事に融合して

静かにゆっくり
やさしい声で私に語り掛けてくる。

あの暗い時代と
言われている時の歌と思えないくらい
新鮮な感覚だった。

4分ほどの時間が何倍も長く感じられた。

心が洗われる時間だった。

もちろん営業のほうもうまく進んだのは言うまでもない。

今も歌われている「生活の柄」その理由はアルバム「ごあいさつ」にある

今、この歌
中山うり等、若い世代の人たちにも
歌われているようだ。

こういうぬくもりのある歌は
平成、令和の時代ではお耳にかからないからね。

どうしてかって?

それは
まるで母親の
お腹の中で聞いているような
そんな感覚に囚われてしまう

やさしさ感じる歌だから。

聞いてると心がおだやかになる歌だから。

「生活の柄」がレコードになった翌年
高田渡はこう語っていた。

「ぼくが一番好きな歌っていうか、
 うたいたいのは
 歌にやさしさみたいのがあって、
 リキまないでなんかファーッと
 包みこまれるようなもんです」

(なぎら健壱著 日本フォーク私的大全より引用)

と。

最近、高田渡の
いろいろなバージョンの
「生活の柄」を聞いてみたが

やはり
ファーストアルバム「ごあいさつ」
(1971年発売)
に入っている「生活の柄」がいい。

車の中で聞いた時のバージョンが
入っているからね。
もちろん学生時代に聞いたのと同じである。

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