こんにちは
健康オタクの あんこう です。
旧き良き東京の風をあつめて
不思議な空想ゲームを楽しんでみよう。
「風をあつめて」不思議な歌詞 空想ゲーム
はっぴいえんどの「風をあつめて」
を聞いてみると
何とも不思議な歌詞だ。
松本隆の詩の世界観のルーツは
ジャックス早川義夫の
「からっぽの世界」から
来ている。
「この詩に出会っていたから
『はっぴいえんど』の詞が
描けた」
と語っている。
「からっぽの世界」では
歌詞の”僕”は海の底にいる。
でも”僕”は死んでいない。
「静かだな、海の底は」
と感じている。
二番の歌詞で、
「僕、死んじゃったのかな」
「静かだな、海の底は」
と死を感じる。
ちょっと前までは
「死んでいない」
のだが
死後の世界を描いている。
なんとも不思議で幻想的な
詩の世界だ。
♪
(前略)
僕 寒くなんかないよ
君は空をとんでるんだもの
僕 死にたくなんかない
ちっともぬれてないもの
静かだな 海の底
静かだな 何もない(前略)
頭の中が からっぽだよ
(中略)
なんだかうそをついてるみたいだ
僕 死んじゃったのかな
(中略)
静かだな 海の底
静かだな 何もない
♪「からっぽの世界」
作詞:早川義夫
作曲:早川義夫
松本隆の「風をあつめて」も
幻想的で不思議な世界だ。
♪
街のはずれの
背のびした路次を 散歩してたら
汚点だらけの 靄ごしに
起きぬけの露面電車が
海を渡るのが 見えたんです
♪作詞:松本隆
作曲:細野晴臣
歌詞を1回や2回見ただけでは
何とも解釈のしようがない。
街はずれを散歩していたら
汚れたモヤの隙間から
路面電車が海を渡るのが見えたって
そんなことがある?
もちろん、
そんなことあり得ないですね。
当時、高度成長期の東京。
今まで路面電車が走っていたのが
地下鉄に変わってしまった。
路面電車が見えるはずがないのに。
【あんこう】流に解釈すると
旧き良き東京を想っていたら
あるはずのない路面電車が
海を渡って行くように
汚れたモヤの隙間から見えた。
「それに乗って昔の東京へ行こう」
と空想したんだろう。
当時、松本隆が
新譜ジャーナルに寄稿した
アルバム「風街ろまん」の文の
一部を載せる。
(前略)
路面電車はいつまで待っても
動き出さない。
それは、あの絵本のなかの、
盛んに黒煙を吐いているにも
かかわらず、
ちっとも動いてくれなかった
機関車や汽船によく似てる。
でも今では、
あまりにも多くのものが、
変動し、
移り変わってしまうので、
ぼくらはかえって時間を
剥ぎ取られたような、
こういう一枚の風景画から、
いろいろな素晴らしい空想を
引き出すのが、
とても楽しいのだ。
(後略)
新譜ジャーナル
1972年1月号より引用
光化学スモッグのない
路面電車が走っていた
昔の東京に戻るって空想。
素晴らしいですね。
♪
とても素敵な
昧爽どきを 通り抜けてたら
伽籃とした 防波堤ごしに
緋色の帆を掲げた都市が
碇泊してるのが 見えたんです
♪作詞:松本隆
作曲:細野晴臣
朝日が差し始めるとき
海が見える通りを抜けていたら
人気のない静かな防波堤越しに
赤い帆を揚げた都市が
停泊しているとは・・
都市が出来上がっちゃっている。
(前略)
だが、どこかに、
この絵とそっくりに
立ち止まったままの光景が
あってもおかしくないはずだ。
(中略)
(朝、とびきり冷たい水で
顔を洗い、
箪笥のひきだしを開けると
中は
雪景色だったりするのだから、
ぼくの頭の中に、
街のひとつ位、
構築されてたとしても、
たいしたことじゃ
ないんだよ)
(後略)
新譜ジャーナル
1972年1月号より引用
この考え方によると
このくらいの空想をしても
いいんだろう。
凄い発想だ。
♪
人気のない
朝の珈琲屋で
暇をつぶしてたら
ひび割れた 玻璃ごしに
摩天楼の衣擦れが
舗道をひたすのを見たんです
♪作詞:松本隆
作曲:細野晴臣
朝、喫茶店でコーヒーを飲んでいたら
ひび割れたガラスの向こうに
高層ビルから降りてくるビル風が
舗道まで流れてくるのが見えた。
子供の頃よく遊んだ所が
高速道路になったり、
よく行った駄菓子屋が
高層ビルに変わってしまった。
都市育ちの人の
故郷が無くなった想いを
「寒々としたビル風が見えた」
こう描いたのだろう。
(前略)
きみは風が、
まだ「やさしさ」を
匂わせながら、
僕らの頬のあたりで
くるくると
渦巻いていた時分のことを
思い出してくれればいい。
(後略)
新譜ジャーナル
1972年1月号より引用
そして
「やさしさ」を匂わせている風
つまり
昔の
すみきった空の青さを渡る風
を集めて
「青空を翔けたいんだ」
「昔の青空を」
と
切望した。
故郷東京ノスタルジーだ。
♪
風をあつめて
風をあつめて
風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
♪作詞:松本隆
作曲:細野晴臣
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